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2016
08.21

所有の印4

Category: 所有の印
こんばんは
続きをお届けします。

※注意事項
・夕鈴、悪い想像が斜め上に暴走します。
 夕鈴暗いのでご注意ください。(今回だけです)


【本物夫婦設定】
【原作沿い?】


* * *

夜中に目が覚めてしまった。
気付くと寝衣を着ていた。
だけど隣に陛下はいなかった。

----陛下?
お仕事?それとも宴に戻った...?
宴だったらもう終わってるはず。


ふっと宴の時の二人の姿が浮かんできた。
まるで絵のように睦み合う二人の姿が。

嫌な考えが頭をよぎった。
まさか......皇女様と一緒?

どくんっ
胸が締め付けられ
体の芯が一気に冷たくなる。

自分がこんなに心が狭いとは思わなかった。
陛下と他の女の人が話すだけで体が冷え
帰ってこないとこんなに不安になる。

臨時の時はこんな事はなかった。
陛下はいずれ正妃を迎え、その時には私はいない。
遠くから想うだけで十分だった。
想いが通じて本物の妃となった今、
陛下がいなくなることがとても怖い。

これで陛下が他のお妃様を迎えたらどうなるの。
夜の、あの声を聞いたりしたら...。


-------っ
想像しただけで胃の腑が焼けてきた。
吐きそうだ。


寝返りをうつ。
冷たい布団。
これから先、こんなこといっぱいあるのかな。
陛下に愛され、お世継ぎを残すことが妃の仕事...。
老師の言葉が胸に刺さる。

うっ...

苦しい。痛い。

うっ...くっ...ううっ

気付くと嗚咽を漏らしていた。

こんなんでこれから先、
本当にやっていけるんだろうか。
なんだか自信がなくなってきた。

ひとしきり泣いた後、そのまま眠ってしまった。
そしてとても悲しい夢を見た。






四阿で陛下と皇女様が微笑み合っている。

自分だけに向けられていた熱い眼差しが
今度は彼女に向けられる。
美しく教養豊かなお姫様。
陛下の隣に立つのに相応しい女性。
とても太刀打ちできない。

寝所では彼女の部屋から嬌声が聞こえ、
それを毎夜聞かされる。

ぎりっ
胃の腑が焼ききれそうに痛い。
苦しい...痛い...
吐きそうだ。


陛下...程々になさってくださいませ!

自分の言った言葉が胸を刺す。
程々に、そんなこと、よく言えたものだ。
毎日溢れるほどの愛情を一身に受けていたのに。
どうしてそれが当然のものと思っていたのだろう。
あの柔らかい笑顔がもう自分に向けられることはない。


挙句の果てに、私は太子に下賜されるらしい。
外交のための駒として。

私は何があっても陛下の味方でいると決めた。
だから少しでもお役に立てるならと承諾した。
だけど....感情がついていかない。

「...っ陛下...嫌...。他の人となんて。いやあああああ...」

嫌。陛下以外の人となんて嫌。
いっそ、このまま消えてしまいたい。

下賜される前日
一人、寝所で泣いた。





----- ゆうりん...夕鈴っ!


遠くで声がする。
小犬...陛下の...声?

頬が痛い。じんじんする。
痛さに目を開けると目の前に陛下がいた。


「どうしたの?僕はここだよ?」


心配そうな顔で覗き込んでいる。
自分に向けられた優しい表情。
ああ...いつもの陛下だ。
....よかった。夢だった。


「陛下...よかった...。」


思わずほっとした声を出すと、抱き寄せられた。
必死で背中にしがみつく。
涙が止まらない。
瞼に陛下の唇が触れる。
そのまま唇で涙を拭われた。


「夕鈴?泣かないで。
 他の人って誰の事?
 僕の妃は君だけだよ?
 君しかいらないよ。」


泣き止むまで陛下はずっと頭を撫でていてくれた。
その手が温かくて安心する。

胸に顔を埋めると強く抱きしめられた。
心臓の音が聞こえる。少し早い。
...心配してくれてるんだ。

その音を聞きながら
もう一度眠りについた。


* * *


....そう。あれは夢だった。
だけど夢が頭から離れない。
何をやっても溜息しか出ず
頑張る気力が全くなくなってしまった。


そして
本日、5度目のため息が出た。



つづく
-------------

【おまけ】
陛下の名誉のための陛下ターン....

* * *

ふう。疲れた。

あの後、
急ぎの仕事が入り、李順に呼ばれた。

仕事の後、
夕鈴の部屋に戻ろうとすると宰相に捕まり
そのまま追加の仕事をねじこまれた。

何とか終わらせ遅くに寝所に戻ってみると、
夕鈴は既に眠っていた。

隣に潜り込み、寝顔を見ようと覗き込むと
辛そうに眉を寄せ、呻き声をあげている。
頬に手を触れると涙で濡れていた。


....泣いているのか?


突然、夕鈴が叫び出した。

「...陛下...嫌っ...。他の人となんて。いやああぁぁぁぁ...」


普段の明るい夕鈴からは
想像もつかない程の悲痛な声。
様子がおかしい。


「ゆうりん?夕鈴!」


頬をぺちぺちと叩き、声をかけると
うっすらと目を開けた。
ものすごく虚ろな目をしている。
このまま消えてしまいそうな感じだった。


「夕鈴?どうしたの?僕はここだよ?」


夕鈴はしばらく焦点の合わない目をしていたが
僕の姿を認めると、目に光が戻ってきた。
ほっとした顔をして笑う。

「陛下...よかった...。」


そう言って僕の胸に顔を埋めてきた。
背中に回した手が震え、泣きじゃくっている。
しっかりと胸に抱き、唇で涙をぬぐった。


「夕鈴?泣かないで。
 他の人って誰の事?
 僕の妃は君だけだよ?
 君しかいらないよ。」


安心させるように頭を撫でていると、
夕鈴の体から力が抜けてきた。
寝息が聞こえ始める。


こんな悲痛な声を初めて聞いた。
あの虚ろな目。
自分も父のように彼女を不幸にさせてしまうのかと
暗澹たる気持ちになる。
だけど、もう手放すこともできない。


涙で濡れた顔を唇で拭い
胸に抱き寄せた。
程よい重みと温かさ。
夕鈴はあったかい。
一緒にいると何だか安心する。
君以外は考えられない。
今も。この先も。

規則正しい寝息を聞いている間に
いつの間にか自分も眠っていた。

陛下ターン おしまい
-------------


二部が始まって、ずっと違和感があったこと。
それは夕鈴が陛下に対し、程々にと言っていたことです。

後宮で陛下の寵愛を受け続けられるのは
稀有なこと。
それなのに、二部に入ってからの夕鈴は、
陛下の寵愛を当然どころか鬱陶しいとまで
思っている節が見受けられ、ずっと疑問でした。

このお話は、そんな夕鈴にヤキモチを
妬かせたくて書きました。

暗いお話にお付き合いいただき、
ありがとうございました。

次回からは明るくなりますので
お付き合い頂けると嬉しいです。
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