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2016
08.23

所有の印5

Category: 所有の印
こんばんは
続きをお届けします。

さほど甘くありませんが、前回よりは明るいですので
お気軽にお楽しみくださいませ。

※原作とは人物像が異なります。(特に夕鈴)
  ご注意ください。

【本物夫婦】
【原作沿い?】

-----------

はああああああ。
本日5度目のため息だ。
文字が記号の羅列に見える。
何も頭に入らない。

「随分深いため息ですわね。
今日はここまでにしましょうか?」
「...す...すみません」

ああ、折角お時間とって頂いているのに
ご迷惑をかけてしまった。
そのことが更に凹ませる。
蘭瑶様が私の顔をじっと見た。

「今日は随分と顔色がお悪いですわね。
昨日まではお元気そうでしたのに。
もしかして昨日、宴で何かあったのかしら?」

ぎくっ。ばれてる。
太子様にも指摘された。
そんなに分かりやすいんだろうか。私の表情は。
恐る恐る顔を上げると、
蘭瑶様がにっこり笑った。

「あら図星?
では陛下はどこぞの舞姫様にでも
出会ってしまったのかしら?」

「......いえ。そんなことは...」


出会ったのは舞姫様ではない。
皇女様だ。
そして恋に落ちたわけでもない.....と思いたい。
だけど....

そして本日6回目のため息をついた。
蘭瑶様が苦笑いする。


「今日は少し昔話でもしましょうか」
「....昔話...ですか?」


なんだろう...。
妖しく笑う蘭瑶様が怖い。
李順さんも蒼褪める。
そんな私達をみて蘭瑶様はふふと笑った。


「そんなに怖がらないで?
...ただの昔話ですのに。」


ふと蘭瑶様は私の襟元を見た。
襟元を指しながら問いかけた。

「そういえば、陛下は毎晩貴方の元にいらっしゃるのかしら?」

「え?....あ...はい。お仕事が忙しくない限りは一緒に」


襟元?。あ、昨日の跡。
そんなに目立つのかしら。
顔が熱くなりしどろもどろになる。


「朝までご一緒?」
「...はい」
「...そう...。唯一ですものね。
それは後宮ではとても珍しいことなのよ。」


蘭瑶様は笑って遠い目をし、
ぽつりぽつりと話し始めた。



名門と呼ばれる貴族の娘はね、
後宮に入る前提で教育を施されるの。
歌や舞、教養、立ち居振る舞い...
それはそれは厳しい教育をね。


そういう思いをして後宮に上がっても、
正妃様を頂点にした階層の中で、
陛下の御渡りは月に一度もあればいい方。
少しでも多く私の元に通ってもらえるよう、
陛下を楽しませられるようなんでもしたわ。
それが私達の仕事ですからね。
後宮の女はそういうものだと思っていた。

そんなとき、一人の舞姫が陛下に見初められて
後宮入りしたの。

ある日突然やってきた舞姫様。
その日から毎晩のように舞姫様の元に通う陛下。
どんどん溺れていく陛下の姿を目の当たりにし、
毎夜睦み合う声を聞かされた私達の気持ち、
貴方にはわかるかしら?
唯一の妃である貴方に。



蘭瑶様は昏い目をして私を見た。
ぞくりとした。


舞姫様...陛下のお母様だ。
この上ないほどの寵愛を受けたと聞いている。
その時他のお妃様方はどんな気持ちだったんだろう。

...昨日の夢を思い出す。
自分以外の女性に熱い眼差しを向ける陛下。
そして毎夜寝所で喘ぎ声を聞かされる。

−−−−っ
想像しただけで胃の腑が焼けそうだった。

涙目で蘭瑶様を見つめると
蘭瑶様の表情が柔らかくなった。


「そういうことよ。
 毎晩一緒に過ごせるのは
 後宮ではとても幸せなこと。
 だから今の幸せを大事になさって。」

「.....はい」

「そういえば....先日こんな本を見つけたわ」


そう言って手元にあった本を差し出した。

ぶっ....
見覚えのあるその装丁に吹き出しそうになる。
以前老師が置いていった本だ。

「あ...あの、蘭瑶様も...この本を読んだのですか?」

「一通りはね。嗜みですもの。
陛下のお好みもあるでしょうから、
これが全てではないのですけれど。」

と、本を開いた。


「ただ...皇女様ならこの程度の知識は既にお持ちですわ。
昔の後宮には、なりふり構わない方もいらっしゃいましたし。
知らないよりは知っていた方がよいのではなくて?
同じ土俵で闘うのならね。」


くう。相変わらずきつい。
でも、何だろう。
どうしてここまで親身になってくださるのだろう?


「ありがとうございます。
でも蘭瑶様。どうしてここまでしてくださるんですか?」

「ふふ。どうしてかしらね。
いつも元気なお妃様が珍しく気落ちしているから、
ちょっとした気まぐれ?
お妃様は笑っている方がいいですわ」

蘭瑶様はにっこり笑った。
そのまま手に持った本の頁をパラリとめくり、突然吹き出した。


「...くっ..これはあり得ないわよねえ」

覗き込むと、奇っ怪な形に男女が組み合った絵があった。

「あ!やっぱりそうですよね♪安心しました。じゃ...これは?」
「...これは常識よ」
「えええっ?そうなんですか」
「..貴女、もう少し教育が必要ね...」
「...え?」


蘭瑶様はにっこり笑って件の書物を手渡した。


「はい。これでもう少しお勉強なさって?」
「...はい」

やっぱりこの書物から逃げられないらしい。
部屋の端を見ると、李順さんがため息をつきながら
頭を抱えていた。


* * *

自室に下がった後、手渡された本を読む。

くうっ。やっぱり....恥ずかしい。
何これ....相手の○○を優しく××して....。
えええ?本当にこんなことするの?これ常識なの?
顔から火が出そうだ。
あ、でもこれはしたことがある。これも...。
....ってことはやっぱりこれって後宮の標準なんだ。
はあ~~~っ。駄目だ。頭が毒されそうだ
大きくため息をついて本を閉じ、机の上に突っ伏した。


.....
落ち込んでいる理由はわかっている。
昨日の夢だ。

昼下がりの四阿では
陛下の笑顔が自分ではなく
他の女性に向けられていた。
夜は寝所から喘ぎ声が聞こえて...

その可能性が皆無ではないことが悲しい。
私は下っ端妃だからだ。
もし、本当に陛下が他のお妃様を娶ったら
私は耐えられるのだろうか。


それでも...陛下の味方でいたい。
お側に居られないなら、
せめてどこかでお役に立てるように。
だめだわ...。
それじゃ本当にどこかに下賜されてしまいそう。

弱音を吐くのは嫌だし、
自分にできる限りはと頑張ってきたけど..
なんだか......少し....疲れたな。
起き上がって膝を抱え、もう一度深い深いため息をついた。




背中が温かい。


「随分、盛大なため息だな。我が妃は。
何をそんなに憂いている?」

耳元で声がした。陛下だ。
え?なんで?こんな早くに?

「へ...陛下...?
 お帰りなさいませ。
こんな早くに如何なさいました?
 お仕事は大丈夫なんですか?」

「私が心配しているのは君なんだが...。
 それに今日の仕事はもう終わっている。」

そういって女官さん達に目で合図し人払いする。
二人っきりになると顔を覗き込まれた。


「どうしたの?」


心配そうな目。
ああ...心配させてしまった。
...やっぱり駄目な妃だな...私って。
負の感情が心を占め思わず目を伏せた。


「女官長からふさぎ込んでいると聞いたよ。
様子がおかしいと。
昨晩はうなされてたし。」


今日は何人にも指摘された。
よほど挙動不審だったようだ。


「いえ....単に...自分の問題で....。」


ため息が聞こえた。


「君はいつも一人で解決しようとする。
宴でもそうだった。
僕じゃ頼りにならない?」


...しゅんとした目。
そんな顔させたいわけじゃないのに。
どうしよう...昨日のこと聞いてみようか
逡巡していると


-------ちゅっ


柔らかい感触とともに額から音がした。


「...陛下...今のは?」
「ん?夕鈴頑固だから嫌がらせ」

....どんな嫌がらせよ。
そういえば、前もあったわね、こんな嫌がらせ。
思わず笑った。

「笑ったね。やっぱり夕鈴は笑った方がいい。」

そういって柔らかい笑顔を見せる。小犬だ。
なんだかくすぐったい。


柔らかな笑顔。
この笑顔をいつまでも独り占めしていたい。


ふっと..昨日の夢を思い出す。

四阿で他国の皇女と微笑み合っている陛下の姿。
この笑顔が私以外の人に向けられる?


-----嫌。
誰にも渡さない。
私だけの....黎翔様


強い感情が湧き上がり
気が付いたら首に腕を回して


-------ちゅっ

口付けしていた。


陛下が目をまん丸くして私を見た。
はっと我に返る。


うわああ...

何やってるの私。
自分からなんて...はしたない真似をしてしまった。
陛下...固まっているし。
どうしよう...嫌われちゃった...?


慌てて腕を離して逃げようとすると、
腕を絡めとられ胸の中に閉じ込められた。
陛下の瞳が熱を帯び、只ならぬ色気を放ち始める。


「...今日は随分と積極的だな」と低い声。
「.......お嫌です...か?」
「嫌じゃない。むしろ嬉しい。」


陛下の顔が近づいてきた。


「....今度は私の番だ」


唇が重なった。




つづく
---------

そう、私。ヤキモチ夕鈴が書きたかったのです。
ああ、すっきり。

次回はバス付きです。
そして夕鈴、かなり積極的です。
原作と程遠いですので
嫌な方はすっとばしていただければと。

お付き合いいただき、ありがとうございました。
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