2016
09.05

所有の印8~皇女ターン

Category: 所有の印
続きの皇女ターンです。

オリキャラしか出てきませんので、
ご興味のない方はスルーしていただければと。
次回より本編に戻ります。
何でもこいやあぁという方、
お付き合いいただければ幸いです。

【本物夫婦】
【オリキャラ注意】

~皇女ターン~


あの麗しい白陽国国王を落として正妃の座を。


戦場の鬼神だの狼だのなんて異名を持つ国王なんて、
正直ただの野蛮な男だと思っていた。

-----ところが
現れたのは、長身の見目麗しい青年だった。
漆黒の髪に切れ長の紅い瞳。
総身から只ならぬ色気を醸し出し、
目が合った瞬間にその色気に参ってしまった。

対するお妃様は...
絶世の美女という噂だったが
思った以上に普通だった。

確かに可愛らしいけれど、
この美貌の陛下の唯一というには
少々物足りない。

でも如何にもお兄様が好みそうな感じだわ。
お兄様はこういう健気な女性に弱いのよね。

ふと隣を見ると、兄は既に魂を抜かれていた。

早っ。早すぎますわよ、兄様。
お妃様...。やはり恐ろしい人。
あの兄様を一目で誑すなんて。
これは気合を入れなくては。

闘争心に火が付いた。


宴が始まり、早速、王の隣に侍る。

「国王陛下...麗蘭と申します。お見知りおきを。」

自慢じゃないけれど、容姿には自信がある。
それに男性を誑しこむ手管も。

だけど
想定外だった。

流し目しても、熱を含んだ瞳で見つめても
その目は私を映さない。
話かけても生返事。
声が耳に届いていない。
こんなことは初めてだった。
まるで砂漠に水を撒いているようだ。

王はただ一点だけを見つめていた。
そう。お妃様だけを。


ぞくっ
突然の寒気。空気がどんどん冷たく重くなる。
隣を見ると王が怒りを湛えた目で、
ある一点を睨んでいた。
視線の先に目を向けると、
兄様がお妃様を口説いている。

ああ、兄様。全力で誑してるわね。
私はあの流し目と笑顔で落ちなかった女性を見たことがない。
だけど、残念だわ。お兄様。
お妃様、お兄様のこと全く眼中にないみたい。
まあ、この妖艶な王から深い寵愛を受けているのですから
無理もないですわね。

そしてお妃様の手をとり甲に口付けた瞬間

ぱしっ

陶器が割れる音がした。
恐る恐る隣を見ると陛下が指で杯を割っていた。
...こ、怖い。


「...皇女殿」

低い声。
体が震えた。今にも斬られそうだ。
...名前、憶えてくれてないし。

「...はっ、はい」
「兄上の名前は?」
「....紅焔にございます」
「...そうか...」
「-----っ」

王が立ち上がり、兄様の方に向かった。
...まずい。兄様、斬られる。
蒼褪めたが後の祭りだった。

行く末を見つめていると
王が兄様からお妃様を引き離した。

お妃様は蒼褪めながらも
兄様が斬られないよう庇っていた。


それが気に入らなかったのだろう。
お妃様を引き寄せ
皆の前でこれ見よがしに濃厚な口づけを施した。


....あれは牽制。
私の唯一に手を出すなと。


そして、他の男に見せたくないと
言わんばかりにお妃様を抱えて中座してしまった。

どれだけ悋気が強いの。
あれは、お妃様。多分、お仕置きだわね。
お気の毒。


あの様子だと後宮入りしても無駄ですわね。
後宮に入ったところで御子は望めないでしょう。
陛下は私の名前を憶える気もなかった。
その目に写すものはお妃様ただ一人。

労力の無駄ですわね。
それならば、お妃様と仲良くし
継続的な友好関係を築いた方がよほど国益が高い。


路線を変えましょう。
そして、次の標的(ターゲット)を探しましょう。
そう決心する麗蘭だった。


* * *

兄様はあれから元気がない。
後宮の方を向いては
切なそうに溜息をついている。


次の宴の日取りが決まると
途端に元気になる兄様。

あら。まだ諦めていなかったのね。
往生際の悪い。

だけど、これからどうする気なのかしら。
兄の目が日に日に暗い光を帯びてくる。

危ないですわ。
宴、何事もなければいいけれど...。
麗蘭は不安を感じずにはいられなかった。


つづく
-----------
ありがとうございました。
次は本編に戻ります。
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