2016
09.10

所有の印11〜誘拐〜麗蘭の戦い

Category: 所有の印
こんにちは
続きです。サクサクいきます。
皇女・麗蘭、頑張りました。
よければ

------------------
【本物夫婦設定】
【原作設定沿い】
【オリキャラ注意】

…くっ。遅かったですわ。
どうしよう、追いかけた方がいいのかしら。
でも私では兄を止めきれない。
.,.どうしたら...


あっと言う間にお妃様を出口付近に
追い詰め、手を取り連れ去った手口。
鮮やかだった。

どうしたら…。

麗蘭は周りを見回した。

* * *

先日。宴で王の隣に侍ったとき
王は私の方など見向きもしなかった。
見つめても話かけても生返事。
ただ一点だけを見つめていた。

その目線の先にはお妃様がいて
兄に口説かれていた。

兄がお妃様の手の甲に口付けした途端、
冷気が漂い、杯が割れた。
隣を見ると王の目が怒りに燃えていた。
兄は王の逆鱗に触れたようだった。

王は立ち上がり、お妃様の元へ。
お妃様の腰をさらい、自分の方に引き寄せ
兄から引き離した。

場の空気が凍る。
その様子に、ただただ震えることしか
できなかった。

全員が震える中、お妃様が動いた。
必死の取りなしで、私達にお咎めはなかった。

その後からお妃様は表に出て来ない。
恐らく、王が後宮に閉じ込めているのだろう。
それ位、あの時の王の悋気は凄まじいものだった。

あの様子を見た後、後宮入りする気にはなれない。
嫁いだところで、到底、御子は望めないだろう。


だけど兄は違った。
お妃様の必死のとりなしを
自分への懸想だと勘違いしたようだ。

後宮の方角を見て溜息をつき、
物思いに沈む兄。
目が日に日に暗い光を帯びて行く。
大使達に何やら指示を出している
ところも見かけた。

------連れ帰る気ですわ。

そう直感した。

愚かな事を。
どう見てもお妃様は兄など眼中になかった。
王の唯一に対する先日の暴挙と誘拐。
外交問題ものだ。
未だ誘拐と決まった訳ではないけれど
あの兄ならやりかねない。
それに下手すれば戦になる。
父はそんな事は望んでいない。

惚れっぽく、あちこちの皇女や
大臣の娘と浮名を流している兄だが、
そこまで愚かとは思いたくなかった。

止めなくては。

そう思い、お妃様の姿を探していた矢先だった。


* * *

周りを見回すと、自国の大使と王が話しをしていた。
今このタイミングで?
----まさかお兄様…


恐らく、今、外交絡みの会話をしているのだろう。
ああ嫌だ。この中に割って入るなんて。
本当に斬られそう。

だけど…
行くしかありませんわね。

すうっと深呼吸した。

「陛下?
こんなところにいらいたんですの?
お探ししましたわ」


場の空気を読めない我が儘娘に成り切って、
王に近づいた。


王が無表情で顔を向け
大使らが怪訝そうに眉を潜める。

「あら?
私とはお話してくださらないのですか?」


そう言って近くに寄った。
大使らが驚いた顔をしている。
まあ、そうでしょうね。


「麗蘭様?…今はちょっと」

にこっ
大使らを笑顔で制した。
空気を読めてないのは重々承知。
だけど今はそれどころではない。

王は冷ややかな目で私を見ている。
先日の穏やかさとは雲泥の差だ。
改めて、お妃様の偉大さを実感した。


…怖い。
体が芯から凍りそうだ。
背中に悪い汗をかいていたが、
なんとか首に腕を回し耳元で囁いた。


…王様。突然のご無礼をお許しくださいませ…
…兄がお妃様を外に連れ出してしまいました…
…それも、今この時分に…


王が目を見開く。


…父も私も外交問題など望んでいません…
…兄を止めて欲しいのです…
…大使らには私から説明します…


そう言って離れた。
陛下は私を見つめ、初めて口を開いた。

「皇女殿、承知した。」


やっぱり名前は呼んでくださらない。
だけど。私を見る目が穏やかになった。
それだけで十分ですわ。
自然と笑みがこぼれた。

「途中だが、失礼する。続きは後ほど改めて。」

そう言って身を翻し、足早に立ち去った。
冷たい空気を纏いながら。
大使らは何が何だか分からないといった様子だ。


「麗蘭様…今のは一体?」
「お兄様が、今このタイミングで
お妃様を連れ去りました。
お兄様から何か指示されてませんか?」


大使らが息をのんだ。


「そう言えば…」
「宴が始まったら陛下の側に行くようにと指示が…まさか…?」
「恐らく、そのまさかでしょう。」

大使らは青褪めた。
どうやら知らなかったらしい。

「全く。多数いる妃の一人ならいざ知らず、
唯一と明言し寵愛の深い妃を攫うなんて。
貴方がたもご存知でしょう?
先日の陛下のお怒りを。
正気の沙汰ではありませんわね。
これはもはや外交問題です。
父はそんな事望んでいません。
友好のために訪れているのですから。

先程はごめんなさい。
交渉が不利になる事を承知で王に知らせました。
咎は私が受けますから。」

そう言って頭を下げた。

「麗蘭様、おやめください。」
「そうです。麗蘭様。
…正直、いつものことでございます」

大使らが慌てて、
うっかり本音が漏らす。
くすりと笑った。

「なるほど。
今回、父が私を遣わしたのは、後宮入りよりは、
お兄様の歯止めという意味もあったのですね。
それならば、なおさらです。
お兄様を止めなくては。」

大使らが頷く。

「ただ…この後、頭が痛いですね。」
と目を伏せた。

「麗蘭様…それは私どもの仕事です。
そこはお任せください。」
「麗蘭様は紅焔様をお願いします。」
「ありがとう。
お父様にはよく伝えておきますわね。」

そう言って、
大使らに極上の笑顔を向けた。
皆一様に頬を染めた。

兄様。
誑しの技術はこういう時に使うのよ。

大使らが陥落したのを尻目に
その場を離れた。

麗蘭の笑顔に心を奪われた大使達は
しばらく惚けた顔をしていたが、
ふと我に返り

((紅焔様??。
毎回、毎回、何してくれるんですかっっ!))

と、皆一様に頭を抱えた。


* * *


李順はその様子を静かに眺めていた。


なるほど?
鍵は皇女様の方でしたか。
これは戦略を変えねばなりませんね。

…さて。
私も、向かいますか。
後始末のために。


そして
静かにその場を後にした。




つづく
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ありがとうございました。
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コメント
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dot 2016.09.11 09:52 | 編集
まるねこ様
週末に細々更新してます。
皇女様、頑張りました。(*^^*)
場の空気を壊すのを承知で
報せるなんて中々出来ませんよね。
男前な女性って大好きです。

ありがとうございました
けいdot 2016.09.11 10:55 | 編集
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