2016
11.13

所有の印19

Category: 所有の印
こんにちは
続きをお届けします。
第三者から見た宴の二人です。
麗蘭目線→李順さん目線です。
もしよければ。。。

【本物夫婦設定】
【オリキャラ注意】




---寒い...
こんな寒い宴は始めてですわ。

麗蘭が兄紅焔と共に宴に戻った時、
国王は一人だった。

表情は先ほどと変わらないように見えるけれど
醸し出す雰囲気が冷たい。
近づいたら八つ裂きにされそう。
一体何があったのかしら。。。


そういえば、お妃様がいらっしゃらない。
さっき一緒に立ち去りましたよね。
一体どうなさったのかしら?
今度は別の殿方にでも攫われたとか?
だったらあの不機嫌さも有り得ますわね。


自国の大使が怯えて近づけないでいる。
あれは交渉どころではない。
でも、よく見ると、白陽国側の官吏も近づけないようで、遠巻きに眺めていた。


白陽国の官吏が小声で話している。


「宴に冬の嵐が吹き荒れているね。
お妃様の姿が見えないせいかな?
今日はもう...お暇してもいいかい?」

「----っ、貴様はまた!駄目に決まっているだろう
...全く、何をやっているんだあの妃は。
あれほど陛下のお側を離れるなと...」

「先ほどまでいらしてたよ。
さっき陛下が中座してたから、お妃様に何かあったんじゃないかな?」

「...っ!まさか攫われたとか?」
「...そうかもね。ん?心配かい?」
「....いや、私は別に。陛下がご心配なさる」
「素直じゃないなあ...。
でも陛下がお戻りのところを見ると、ご無事なんじゃないかな。
ただ...ちょっと遅いね。」
「....ったく。迷惑なことだ。とっとと戻ればよいものを」

「同館だね。
お妃様がいらっしゃらないと陛下の怖さが増すからね。
やはり帰ろうかな...」



この二人。
自国のお妃様に対して随分酷い言い様だけれど
不思議と悪意は感じないですわね。
どちらかというと好意的。
陛下のお側にお妃様がいることは、
彼らにとっては当たり前のことみたい。
それは彼女の人徳によるのでしょう...。



そこに、春の風が吹き
鈴のような声が聞こえた。


「陛下...お待たせして申し訳ございません。
只今、戻りました。」


お妃様が登場した途端
部屋の空気が真冬から春の陽だまりに変わった。


「ああ...随分と待った。
君と一緒にいない時間はどうしてこんなに長いのだろうな」

そういって髪を一房救い、唇を寄せた。




* * *

麗蘭は目の前で起きている光景を
唖然としながら見ていた。


なんなのこのバカップル。
.....正直見ていられない。


さっきまでの冬の嵐のようだった寒さはなくなり、
春の陽だまりのような暖かさが部屋を満たしている。
それはきっと...お妃様にしかできないことなのでしょう。

王の表情が違いますわね。
先程とは違い随分と雰囲気が柔らかい。
寵愛の深さが窺い知れます。

それはいいのですけれど...
目の前で繰り広げられている光景は
一体何なのかしら?


王が膝の上にお妃様を乗せている。
お妃様、相当お恥ずかしいのでしょう。
顔を赤くし何度もそこから逃げ出そうとしている。
---なるほど?お妃様の方は割と常識的なのね。

一方、王の方といえば、
お妃様が逃げないよう、羽交い絞めにしている。
そして....始まりましたわ。口付けが。

成程。執着しているのはやはり王の方なのね。
それにしてもこの王様。
どれだけお妃様に魂奪われているのかしら。


それに...
お妃様が動く度に襟元からチラチラ見える紅い華。
あれは王の所有の印。
そして実は王にも同じものがある。
さっき抱き付いたときに見えたからだ。


お揃いの場所に所有印....
本気で砂吐きそうですわ。


周りを見回すと、我が国の大使達は唖然としている。
けれど、この国の方々は生暖かい目だ。
ということは、あれは日常なのでしょう。


いつの間にか隣に兄が立っていた。


「すごいな...あれは」
「ええ。本当に。砂吐きますわね。」
「.....お妃様は...私の口付けは頭突きしてまで全力で拒絶したのにな。
王の口付けは公衆の面前でも許すんだな...」

「愛ってそういうものですわ。
お兄様、いい加減諦めてくださいませ。」
「。。。そう...か」

「あ、そうそう。先ほど白陽国の方が仰ってました。
あの二人、白陽国一のバカップルらしいですわよ。
何でもあの二人をモデルにした物語まで出てるとか。。。」

「物語?そうなのか?」
「ええ、先ほどこんなものを頂きましたわ。」


そう言って巻物を取り出し、兄に渡した。
紅焔は紐を解いて、ざっと目を通し、一言。


「....君が好きそうな話だな」
「ええ、本当に。いつ私の好みまで調べたんだか...。
情報収集面でも恐ろしいですわよ。この国は。」


兄妹は目を合わせ、溜息をついた。





* * *

李順は苦笑しながら国王夫妻を眺めていた。
いつものように(いやそれ以上か)じゃれあっている二人。

全く、相変わらずのバカップルぶりですね。
何も指示することなど、ないじゃないですか。
夕鈴殿、気付いてます?
貴女が動くたび、襟元と袖から紅い華が見え隠れしていることを。

あれは陛下の所有の印。
そして陛下も同じ場所に紅い華。
もっとも陛下は、わざと見せてますがね。

そしてさっきから、太子と皇女の会話が面白い。

白陽国一のバカップル…ですか。
もっとも噂を流したのは私ですがね。
紅珠様の書物を使ってね。

紅焔殿、手を出す相手が悪いですよ。
我が陛下は、戦場の鬼神ですから。
もっとも夕鈴殿に魂抜かれてからは、かなり丸くなりましたがね。

よりにもよって
その王の唯一を攫おうとするなど----
身の程をわきまえてくださいね。
命があるだけましですよ。


恐らく、この宴は語り継がれ
縁談話もしばらくは鳴りを潜めるでしょう。
太子様、皇女様のお二方にはお気の毒ですがね。


さて。もうひと仕事ですかね。
---王の望みを叶えるためには。


李順は人の悪い笑みを浮かべた。



つづく
-------------


ありがとうございました。
実はまだ続きます。
(収束するようがんばります。。。汗)
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