2016
02.25

青慎の出仕 おまけ4 ~お弁当~後編

Category: 青慎の出仕
お弁当編の続きです。
今回は、糖度高めです。(バカップル?)


※原作のような凛々しい陛下はいませんのであしからず。
 夕鈴大好き過ぎて、少し箍の外れた陛下です。

もしよければ....どうぞ。


※青慎目線です。
【原作より2年未来】
【原作沿いのif設定】
青慎の出仕 おまけ4~お弁当~後編

* * *
~姉さんが現れる少し前~

「李順、この仕事はいつ終わるんだ?
山がなくならないのだが?」

「さあ…いつでしょうね。
誰かさんが散々サボっていましたからね。
はい、頑張って早く終わらせてくださいね。
でないと今日は帰れませんよ。」

「えええ〜〜〜?」

陛下が机に突っ伏した。


……。
この机の上で溶けている人が、
巷で有名な冷酷非情の狼陛下だと、
誰が思うだろう…。

李順さんのお手伝いをする事になって知った。
この人、机に向かうのが相当苦手だ。
なんだかんだ理由を付けてはサボろうとする。

それでいて、書類には全てきちんと目を通していて、
不正はすぐに見つけてしまうから恐ろしい。
今は急ぎの案件はないから問題ないけど、
何しろ数が多い。

李順さんだけじや手が回らなくなったので
僕が呼ばれた次第だ。


「大体なんでこんなどうでもいい報告ばかり...今必要ないだろう。」
「その通りです。多すぎますね。裏を調べますか?」
「内密にな。だが深追いはするな。」
「御意・・・・」


これだから油断できない。
いつの間にか不正が絡んだ話になっている。
でも、確かに今必要のない報告書が多すぎる。
どちらかと言えばどうでもいい内容だ。
怪しいな・・・・僕も少し調べてみようかな。

しばらく無言で仕事をしていると


「だめ...もう限界。休む」


陛下が書類の山に沈んだ。
完全に溶けている。
ついに集中力が切れたらしい。

その時

入り口から爽やかな風が吹き
聞き慣れた声がした。


「皆さん。お仕事お疲れ様です。差し入れですよ〜」


ガバッ

陛下がすごい勢いで起き上がった。
反応早っ!


「ゆーりんっっ」


途端元気になる。子犬全開だ。
尻尾をバタバタ振っているのが見える。

……。義兄さん。
どんだけ姉さん好きなのさ。

姉さんはそんな陛下を笑顔で流し、
お弁当を真っ先に僕に手渡した。


「はい。これ青愼の。
育ち盛りだからちゃんと食べてね♪」


ピシッ
陛下が固まった。
幻の耳がみるみるうちにぺしょんと下がり、
ジトジトした目で僕を睨みつける。


姉さん……。

勘弁して。
そこは先ず旦那様からでしよ。
ほら拗ね始めた。
あーあ…。この人拗ねると面倒くさいんだから。

姉さんは僕と陛下の恨めしそうな目線に気付かず、
今度は李順さんの方に向かった。

「李順さん、いつもありがとうございます。お弁当です。」

李順さんは極めて事務的に受け取った。
陛下から黒い空気が漂い始める。


……だから姉さん
渡す順番が逆だってば。


「ゆ、ゆーりん…僕のは?」

オロオロと青褪めながら姉さんに問いかける。
姉さんはにっこりと極上の笑顔を陛下に向け、
特大のお弁当を手渡した。

お弁当でかっ!
陛下が目を丸くする。

「はい。陛下の分はこちらです。
お好きなもの、いっぱい入れました。
あと、きっとお疲れだと思って、甘いものも幾つか・・・。
好きなものをいっぱいと思って作ってたら、作り過ぎちゃって……。
だから少し量が多いんです。」

「「少し〜〜ぃ?」」


李順さんと僕が同時に突っ込んだ。
いやいや、姉さん。
それ、どう見ても二人分以上あるよ。

ぶっ

陛下が吹き出した。
お腹を抱えて体を震わせている。
そして姉さんに抱きつき、嬉しそうに頬ずりした。

「ゆーりんっ♪ありがとうっ。
いっぱいあるから、一緒に食べよ?」

そう言って有無を言わさず姉さんを抱きかかえ、
自席に戻る。
姉さんを膝の上に乗せ、腕の中に囲ってニコニコしてる。

うわ。こんな表情、政務室では絶対見ない。
姉さんはきょとんとした顔で膝の上に座っていた。


「あ、あの陛下?
これだとお弁当食べられませんよ……?」
「うんっ。手が塞がってるから、ゆーりんが食べさせて?」
「はあぁ?」

状況を理解した姉さんは真っ赤になって暴れだした。

ははは……。
もう慣れたけどね。このやり取り。


「もうっ」

真っ赤になりながらも、一所懸命箸で一口大にし、
陛下の口に入れている。そういう気配りが姉さんだ。


お弁当






「これ……美味い。」

陛下が呟いた途端、姉さんの顔がぱああっと輝く。
つられて陛下も笑顔になる。
姉さんは嬉しそうに説明を始めた。

「蒸し鶏をたれに漬け込んだんです♪…美味しいですか?」
「うんっ」
「もっと召し上がりますか?」
「うんっ。ゆーりんも一緒にね♪」
「え?……むぐっ」

ほのぼのと見ていたら、いきなり目の前で濃厚な口付けが始まった。
姉さんはこれ以上ないくらい真っ赤な顔して目を回している。
湯気でも出そうだ。

「ん〜〜〜〜っ・・・ぷはっ」

唇を離し、
口をむぐむぐさせながら涙目で陛下を睨む。

「美味しかった?」
「味なんて、分かりませんっ!」
「え~?分かんなかった?
じゃ、もっといる?」
「!!いりませんっっ///」


あ~・・・・・うん。
つまり・・・口移しされたんだね。
僕は姉さんが幸せならいいんだけどさ。
・・・正直、これは・・・砂吐きそうだよ


隣を見ると、李順さんは既に砂を吐いていた。
そのまま見つめていると目が合った。
目で頷くと、諦めたように溜息をついた。
気持ちは同じようだ。


----この二人を今すぐ追い出そう


李順さんが口火を切る。

「陛下。休憩がてら散歩なさっては如何ですか?
お妃様もいらしたことですし。」

「姉さん。今日はすごく天気がいいよ。
折角だから二人で一緒にお弁当食べてきたら?」


それを聞いた途端、
陛下がニッと不敵な笑みを浮かべた。


----やられた・・・・。


どうやら嵌められたらしい。
つまりあの砂吐きそうなやり取りは計算か。
それにしてもこの溺れっぷり。
全く…どんだけ姉さん独り占めしてたいのさ。
も、いいよ。義兄さん…好きにして。

李順さんと二人で肩を落とす。

「じゃ、皆んなもそう言っている事だし。
ゆーりんっ♪外で食べよっ。
お弁当落とさないでね」


言うが早いか、さっさと姉さんを抱き上げ、歩き出した。


「え?え?え?」


一人展開についていけない姉さんが目を白黒させている。
でも弁当は落とさない。さすがだ。


「私・・・青慎とお弁当~~~っ」


ははは・・・・
姉さん。も、諦めて。
陛下、順番最後にされて相当拗ねてたよ。
多少のお仕置きは覚悟した方がいいかもね。
手を振りながら生暖かい目で見送った。


* * *

嵐が去った後、
静かになった執務室で弁当を広げた。


「行きましたね。」

「はい。すっかり騙されてしまいましたね。」

「陛下ですからね。まあ大丈夫でしょう。
しばらくしたらお妃様が戻してくれますよ。」


やけに自信たっぷりに言う。


「そうなんですか?」

「まあ、経験上、2.3時間後には帰ってくると思いますよ。
理由は…知らない方が幸せですね」


心底嫌そうな顔をする。
そうなんだ。ならそこは追求しない方が良さそうだ。


「まあ、これで弁当がゆっくり食べられますね。
あの二人のやり取り見ながらでは、味が分かりませんから。」

「僕もそう思います。」

「では、頂きましょうか。」

「はい。」

弁当の蓋を開け、箸でつまんだ。


優しい味。姉さんの味だ。
…あれ?でも何だろう。
記憶の中の味とは少し違うような…。

李順さんの方を見ると、なんだか柔らかい表情をしている。
不思議に思って尋ねてみると、笑いながら教えてくれた。


「この味。全て陛下の好みなんですよ。
分かりやすいですね、あの人は。」


ああ、それで味が違ったのか。


「そんなによく作ってるのですか?」

「よく作ってますよ。彼女が作ると毒味が要りませんから。
温かいまま食べられるので、すっかり餌付けされてますよ。」


餌付け…
なるほど。
確かにさっきの姿は餌付けされた狼だ。
姉さんならやりかねない。


「さて…食事の後は、さっきの件の調査でもしますか。」

「そうですね。まずは申請者別と部署別あたりから
相関でも取りましょうか?出納記録も必要ですよね?」

「そうですね、先ずはそこから始めましょうか」

「はい」



一息ついた後、調査を開始する。
調査が終わる頃、
李順さんの予測通り陛下が戻って来た。
それもやけに艶艶した顔で。
戻るなり精力的に仕事を始め、書類の山が次々に捌けていく。


この違い・・・・・
理由は…敢えて聞くまい。
どうせ姉さんが何かしたのだろう。
でも姉さん。いったい陛下に何をしたの?


---猛獣使い
こんな言葉が思い浮かぶ。
姉さんやっぱり只者じゃない。



おしまい
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最初は青愼のために作ってました。
気付くと無意識に陛下好みのお弁当に。
以上、バカップルでした。

お付き合いいただきありがとうございました。
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