2016
04.13

心のふるい

Category: ダブルパロ
おはようございます。

同じものをSNSにもあげてます。
先々月号の陛下を見ていて
ふと思い浮かんだ話があったのでUPします。
古いマンガですがエイリアン通りのダブルパロです。

この話の中に以下のような内容の台詞が
出てきます。

少しずつ目の粗いふるいにかけていったら
手元には誰が残るのだろう....

うわべだけで寄ってくる人を
一人ずつフィルターにかけていったら
最後に誰が残るのかという意味の台詞です。
この部分を陛下に当てはめてみました。

原作設定沿いで書いているので
エイリアン通りを知らなくても問題ありません。
もしよければお暇つぶしにでも。

ご存知の方は、あ、あのシーンだと
気づいていただけると嬉しいです。
どちらのイメージも崩さぬよう書いてますが
ダブルパロが苦手な方はご注意を。

では…どうぞ
---------------
【原作設定沿い】
【臨時妃設定、本物夫婦設定】
【ダブルパロ注意】
【10巻、蓉州でのお忍び視察にて】



「王様に友達はいないよ...」

友達っていいですねと夕鈴に言われた時に
答えた言葉。

王様に友達はいないし
この座にいつまでも居座る気もない、


もし僕が王様じゃなくなったら…
誰が最後に残るのだろう




* * *


お忍びで蓉州に出かけた際に、時間が出来た。
ふと思いついて変装した。
赤の他人の服を着て、気配を消し広場の片隅に蹲る。






幼かったあの日。聞こえてしまった。


「一目見て分かったわ。あの舞姫の子。」
「そんな顔しないで。
あの子は陛下の寵愛が深い。
付き合っていて損はないわよ。」


優しい人だった。
何かと心配してくれて、色々構ってくれた。
信頼していた。

だが彼女の方は違った。
彼女はただ、僕が王様の息子だから構ってたに過ぎなかった。初恋はその時、終わった。




「きや~~可愛い~~」

辺境に行くと、今度は掌を返したような待遇。


「やんごとなき方の血を引いているんですって。」
「まあ...だから気品がおありなのね。
「素敵...是非お近付きになりたいわ。」


....何だ、それは。
所が変わればこうも変わるのか。
僕自身は何も変わっていないのに。
誰も僕の事など見ていないし、
知ろうともしない。うんざりする。


そんな折、街に出かける機会があった。


「李順。なんで街へ出るのに変装するんだ?」
「ちょっとしたお遊びですよ。誰も殿下だとは気づきませんから。」


いつもと違う服を来て、眼鏡をかける...
それだけで
----誰も僕には気づかない。





もし...僕が王様じゃなくなったら...


李順、浩大、克右はそれでも側にいるだろうか...


僕が王様じゃなかったたら
夕鈴。君には会うこともなかった。



少しずつ目の粗いふるいにかけていったとき
手元に残るのは誰だろう。


誰が側にいてくれるのだろう-----



外套を掴んだ手に力が入る。
どうせ誰も気づかないという諦めと
気付いてほしいという願望が混ざる。





周りが騒がしい。


「あれ?李翔さん、あそこじゃないですか?」
「あ、そうだ。よく見つけたネ。お妃ちゃんすげーな」
「本当ですね。全く。出航前に何をなさっているのやら。あの方は」
「困ったお人だ。でも何か様子が変ですね。」



突然。
殺気がした。



転がりながら身をかわし
立ち上がりざま間合いを取って剣を抜くと
----浩大だった。


浩大が笑って殺気を解く。


「李翔サン。何遊んでるの?」
「お探ししましたよ。」


浩大と李順に普通に声をかけられ目を瞠った。


「.....。何故分かった?」
「何がです?」
「他の人の服着て、気配も隠していたのに」


全員顔を見合わせて困った顔をした。


「え?まさか隠れ鬼してたんですか?
分かりますよね?」
夕鈴が周りに同意を求めた。

「まあ....なんとなく」
「俺はね。これが仕事だし?」
「当然です。」


さも当然だと、全員頷いている。
心に灯がともる。

「あの...大丈夫ですか?蹲ってましたけれど」

夕鈴が心配そうな顔で覗き込んできた。
思わずぎゅううと抱きしめた。


「ふぎゃっっ。なっ、何ですか?いきなり」


腕の中で夕鈴はバタバタしてる。
耳まで真っ赤だ。
夕鈴。君は本当に温かい。


「.....どうかなさったんですか?」
「ん?何でもないよ」


陛下....花嫁は狼陛下の味方ですよ.....


以前聞いた言葉を思い出す。
抱いている手に力を入れ込めた。
まずいな。手離せなくなりそうだ。



「あの~お二人さん....ここ往来....」
「(ぷぷぷっ。何?これ。おもしれ~)」
「全く、目立つことは止めてくださいと...」


呆れ声が聞こえた。


「ぎゃっ!!」



それを聞いた夕鈴が
慌てて僕の側から離れた。



* * *
「王様に友達はいないよ。
いるのは妃が一人だけだ。」
「陛下?それ…どういう…」


すうすうと夕鈴から寝息が聞こえ始めた。
その肩を抱き、自分の方に寄せた。


「全く...夕鈴は僕のこと
信用しすぎじゃないかな...」

苦笑いした。


夕鈴。
君は僕が王様でなくても、きっと変わらない。

だけど....
楽しい時間はもうすぐ終りだ。
いずれ君は下町に帰り、僕はまた独りになる。


「ごめんね...。あともう少しだけ」


あと少しだけ..君と一緒に
頬を寄せて温もりを確かめた。





* * *


一年後。

夕鈴は今でも側にいる。
本物の妃として。
今では僕の膝の上が指定席だ。



「ねー、ゆーりん。聞いていい?」
「はい。何でしょう?」
「何であの時、気づいたの?」
「あの時って?」
「蓉州で隠れてた時...」
「あ、やっぱり隠れてたんですか。
うーん...説明できないのですが...
分かりましたよ。何となく。
みんなも同じだったと思います。」

「ふうん」
ぎゆうう。
抱えている腕に力を込め、頬を寄せた。

「~~~っ?へ、陛下?」
「ゆーりんはさ、僕が王様でなくても
変わらなそうだね」

すると
夕鈴はふふっと笑った。

「同じですから…」
「ん?」

...王様でも王様じゃなくても...
狼でも小犬でも…


小声でそう呟くのが聞こえた。

堪らなくなり
「ゆーりんっっ!」思わず抱きついた。

ちゅ、ちゅ…
顔中に口付けの雨を降らせる。


「ぎゃああ、何ですかいきなりっっ」
「いや。お嫁さんが、可愛い過ぎて。」

王様でなくても…
狼でも、小犬でも同じ…
それは僕を肯定する言葉。

「私…言いましたよ。
貴方がいれば何処でもいいと。
王様でなくても同じです」

そう言って上目づかいで軽く睨む。
その表情に自分が歓楽したのを知る。
もう。どれだけ煽るんだか。この兎は。


「そんな可愛いこと言って。知らないよ。」
「え?」

抱き上げた。

「な、な、な?」
「何処でもついてきてくれるんだろう?」
「なっ。そういう意味では…んんんっ」


暴れ始めた夕鈴の口を塞ぐ。
濃厚に舌を絡めると彼女から力が抜けた。
程よい重みと温もり。


ちゅ
「ゆーりん。大好きだよ。」
「〜〜〜〜っ」


額に唇を寄せ、寝台に向かった。
最愛の妻を愛でるために




おしまい
-----------------



エイリアン通りは成田美奈子先生が書いた
80年代のマンガです。
当時生命保険のCMにもイラストが使われました。


一言で設明すれば、ある石油産出国の人間不信の
王子が、人と関わりあうことで成長していく友情物語。
ご存知の方は同世代ですね。

狼陛下で書く必要は全くなかったのですが
主人公であるシャール(※)君の生い立ちが
辺境時代の陛下に割と似てる気がしたので
今回ダブルパロにしてみました。

※シャールの生い立ち
とある石油産出国の第一王子。
身分をかくしてUCLA留学中。
母親がイギリスの元女優(身分違いの結婚)。
身分の低い母から生まれた第一王子のため
常に命を狙われていたこと、母親の死に
暗殺疑惑があったことで完全な人間不信に。

明るい人気者で人当たりはいいけれど、
人を全く信用していません。
誰にもパスしないバスケットボールをするほどに。

こんな感じの人です。
明るく、人当たりのいいところが陛下と違いますね。


ここまでお付き合いいただき、
ありがとうございました。
スポンサーサイト
コメント
blogに初コメです(^^)
エイリアン通り大好きでした。
エピソードは覚えているのですが主人公の生い立ちを忘れていたので、けい様の説明で思い出しました。幾つになっても私は少女漫画の王道設定にはまりやすいのだと再確認いたしました。
過去にもけい様と同じ作品を読んでいたことが嬉しくてコメいたしました。
TAKA2dot 2016.04.13 15:37 | 編集
TAKA2様

おおお、仲間ですね。
そうか。この設定は王道なんですね。
エイリアン通りはすごく影響受けたマンガで
このエピソード、すごく好きなんです。
嬉しいです。(*^o^*)

コメントありがとうございます。
また是非遊びに来てくださいませ
♪( ´▽`)
けいdot 2016.04.13 21:27 | 編集
けい様ヾ(≧▽≦)ノ仲間と言っていただき有り難うございます。
過去にどはまりしたエイリアン通り、八雲立つ、カレカノの主要男性キャラは”優れた能力を持ちながら生い立ちゆえに一族から迫害を受けて心が病んでる”設定だったような。同じ境遇でも心が清らかなままのキャラにははまり難く…けい様はいかがでしょうか。
これからも狼陛下のヤンデレぶりに翻弄されたいと思います。
TAKA2dot 2016.04.15 01:38 | 編集
TAKA2様
カレカノは読んでないですが、八雲立つは好きでした。
いいですよね。あの、程よく屈折した感じが。
もしかしてそれも王道?
けいdot 2016.04.15 22:22 | 編集
懐かしい!
夕鈴は翼クンかな。
確かにシャールと黎翔はにてますね。
久々に読みたくなりました、エイリアン通り!
ご馳走さまでした(^O^)
ありあdot 2016.05.13 02:51 | 編集
ありあ様

お返事が遅れてしまい、
すみません。(>人<;)
わーい。同世代(^O^)/
シャールの方が人当たりいいですが
根は似てると思うんです。
夕鈴は翼くんですね。
料理が得意でシャールの身分が
分かっても変わらないところ。
ちょっと翼くんの方が人間不振ですが。

是非是非読み直してみて
くださいませ(*^o^*)

ありがとうございました
けいdot 2016.05.14 18:42 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top