2016
02.21

青慎の出仕1

Category: 青慎の出仕
SNSからの転記です。
このお話は私が初めて書いたシリーズものです。



もしも...
12巻の夕鈴が王都を出てから2年間、
一度も下町に帰れなかったとしたら....

夕鈴が王都を出てから2年後、
青慎が15歳で官吏登用試験に首席合格し、
官吏になったとしたら....



■注意事項

※本物夫婦設定です
※青慎が主役です。
※夕鈴正妃です。
※いろいろ設定をねつ造しています。
※妄想です。


庶民で15歳で首席合格っていう設定から、
青慎君が恐ろしく仕事のできる新人になっています。
(こんな新人いたら怖いです...)

そして新人官吏の研修内容、配属、および仕事内容については
完全に私の想像です。

歴史に詳しい方からすれば、読んでられないものと思いますが
温かい目で読んでいただければと思います。


上記、注意書きをお読みになった上で、問題ない方、
お付き合いいただけば幸いです。


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【青慎の出仕】

~~ 夕鈴が王都を出ることを決意した後 ~~


「姉さんの人生は姉さんのものなんだからね
好きにしていいんだよ...」


今まで僕のために、やりたいことを我慢して、
一生懸命働いてくれた姉さん。
僕はもう大丈夫だよ。これからは自分のために生きてね


姉さんはずっと僕を抱きしめて泣いて
...そして次の日家を出ていった。

何かを覚悟したような、
でもなんだかすっきりした顔をして。



----それから2年

僕は官吏登用試験に合格した。
そして今日から仕事が始まる。


* * *

出仕初日。
王宮で式典に参加した後、先輩官吏から一通りの説明を受け、
各部署の見学を行った。
翌日から3か月間の共通研修を行い、その後配属先が決まるそうだ。
共通研修では複数の部署を回る。適性を見るためだ。

青慎はその年の首席合格者だった。
15歳で首席合格、そして庶民出身の彼に注目が集まった。
それは賞賛だけでなく、もちろん妬みや蔑みも含まれていた。

物珍しそうに見られたり、クスクス笑われたり、
時には意地悪もされたりした。


だけど青慎は気にしなかった。
貴族からの意地悪は学問所にいたときからあった。
今に始まったことではない。
姉さんが心配するから言わなかっただけだ。

たしかに官吏には貴族が多いかもしれない。
けれど、あのとき李翔さんに話した
政治内部に民の視点が大事だという気持ちは
今も変わらない。

あのとき李翔さんは言ってくれた。
今の王様は実力主義だと。
能力さえ見合っていれば身分は関係ないと。
それなら王様の期待に応えられるよう、
自分ができることを最大限やるだけだ。

...それに姉さんは、王宮のどこかで見てくれてる。

同僚に取られたり、隠されたりしたものが
いつのまにか戻ってきていることが何度かあった。
確証はないけれど....多分姉さんだと思う。
それなら姉さんに恥じないように頑張らないと



* * *


研修中、毎朝青慎は一番に出仕する。
軽く掃除をし、その日の業務に必要なものを揃えておく。

退庁する前には次の日の予定をさっと確認しておき、
他部署への根回しが必要なものはその日のうちに連絡しておく。

逆に他部署からの依頼は出来る限り要望に沿うよう調整する。
彼に笑顔で頼まれると何故か誰も断れなかった。

くるくるとまめに動き、仕事も丁寧な彼は、研修が進むにつれて
各部署で重宝がられた。
研修期間が終わるころには、彼に意地悪するものもいなくなった。




そして.....



彼の配属先は政務室に決まった。
研修中の彼の仕事ぶりに目を付けた方淵が
「政務室に欲しい」と強く望んだためだ。


2へつづく
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*******************

【おまけ】
~~国王の居室~~~

「青慎君が政務室に配属されたよ」

仕事からお帰りになった陛下が話してくれた。

「あの子が?」

お茶を入れ、差し出す。
陛下はそれを一口飲み、「おいしいね」と柔らかい笑顔を見せた。


「うん、彼は研修中の評判が良くて各部署から彼を望む声が多かったんだけど
研修中の彼の仕事ぶりに方淵が目をつけて引き抜いたんだ。
政務室は新人は配属させないんだけど優秀な人材なら欲しいところだね。」

....
あの子が可愛くて優しくて頑張り屋で優秀なのはわかっていたけれど、
そんなに評価が高かったなんて...
思わず顔がほころぶ。


「あの子は本当に頑張り屋さんだから...。
出仕してからも理不尽にいじめられていたのは見てたんだけど、
何もできなくて歯がゆくて...。
でも、方淵殿にまでそんなに認められてたなんて...」


あ、だめ涙が出てきた。
陛下は私を抱きかかえて膝に乗せる。そして涙を指で拭った。


「明日、政務室に顔出してみる?」


黙って首を横に振り、そして苦笑いする。


「不自然ですよ。新人官吏のために正妃が顔を出すのは」


青慎が弟であると知られてはいけない。
私を快く思わない人は、下賤な妃が陛下を誑かして
自分の身内を登用させたと言うだろう。
そうなると青慎の立場が悪くなってしまう。
せっかく頑張っている青慎の努力が無駄になってしまう。


2年前。
下町の生活すべてを捨て、陛下と共に生きる道を選んだ。
その選択に当時も今も後悔はしていない。

それでも青慎と会えないことだけは、
身を切られるように辛かった。
出仕後は、意地悪されている弟を
助けることができないのも辛かった。

だけど...青慎はいつの間にか味方を増やし、
今では助けてくれる人の方が多い。

政務室への配属は方淵殿の希望だという。
方淵殿なら安心だ。表裏がないからだ。
陛下のためなら、身分に関係なく正しく評価してくれるし、
よく面倒も見てくれるだろう。

...強くなった。
もう、あの子は私がいなくても大丈夫だ。

成長をうれしい思う反面、
自分がいなくても大丈夫になったことが寂しい....。


しばらく物思いにふけっていると、
ふいに背中が温かくなった。
後ろから抱きしめられたようだ。


「...ごめんね」


つらそうな声が聞こえた。


「2年も家族と会わせてあげられなくて。」


振り向くと陛下は寂しそうな目をしていた。
瞳が揺れてる。

ときどき陛下は不安そうな顔をする。
手を伸ばして髪をすいた後、頬に触れる。安心させるように。
陛下はその手をとり、口につけた。


「後悔してない?」

「してませんよ?」即答だ。

「あの時、二度と下町に戻れなくてもあなたの側にいたかった。
今も側にいさせてくれる。だから私は後悔していないんです。」

「....ゆうりん」


強く抱きしめられた。
しばらく抱いていたあと、ありがとうと言って腕を緩めた。
そして柔らかく笑う。


...この笑顔が好き....


しばらく見とれていると
顔が近づいてきて唇が重なった。



おしまい
*******************

ありがとうございました。
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