2016
04.24

決意

こんにちは

こちらの更新が滞っていました。
更新がなくても訪れてくださる皆様、
ありがとうございます。
昨日本誌が発売されたので本誌ネタと
プラトニック設定ネタで一つ書こうかと
思ってましたが、なんだか収集が付かなかったので、
今日は別なお話を公開いたします。
SNSからの転載です。
お話自体は年末に書いたものですが
イラストのリクを頂き、先日SNSで
公開しました。
合わせてこちらでも公開いたします。
最後、変えました。
もし、よろしければ

【本物夫婦】

「妃よ、今戻った」
「お帰りなさいませ、陛下」

陛下がお戻りになった。
駆け寄って迎える。
嬉しさのあまり、自然と笑顔になる。
陛下が私を抱きしめる。

後宮に戻ってから繰り返される日常。


すすす...


衣擦れの音がし、女官さん達が退出する。
ここから後は二人だけの時間だ。


陛下が狼から小犬に変わる。
柔らかく微笑み。頬を摺り寄せながら
きゅうっと抱きしめてくる。
この瞬間が好きだ。

「ただいま、ゆうりん」
「お帰りなさいませ...れっれっ黎翔様」

陛下がくすりと笑う。
柔らかな笑顔。

「まだ慣れないね」
「...はい」


二人の時は名前で呼ぶ。
最初は畏れ多いと断ったが
自分の名前を呼んでくれる人がいないと
小犬陛下に懇願されたためだ。

* * *

後宮に戻ってからしばらくした後、
陛下が私を腕の中に囲いながら
こんなことを言ってきた。


「ゆーりん。二人の時は名前で呼んで?」
「なっ...そんな畏れ多いこと。無理ですっ」
「え~~?だめ?」
「いやいやいや...流石にそればかりはっ」

小犬で懇願された。
懇願されてもそればかりは無理だ。
まだ正式な妃ではない。
それに私は庶民だ。

こんなことがお義母様にでも知られたら
「あなたは何を考えているんですかっ」
って小一時間説教くらいそうだ。

私だって名前で呼びたい。
けれど...さすがにそこまでは望めない。


「どうしても?」
「どうしても!」
「弟は名前で呼ぶのに?」

陛下の目に暗いものが宿り
声音に狼が混じる。

「あれはっ...。
 晏流公って呼び名がお嫌だと言ってたから...」

っていうか、何でそれを知ってるの?
...あ、浩大ね。
そう言えば「陛下の」隠密だった。
いつもいてくれるから忘れてた。

「ふーん。僕だってそうだよ。
 弟はよくて、僕は駄目なんだ?
 ゆーりんは誰のお嫁さん?」

よくわからない言いがかりをつけてきた。
もしかして...この人拗ねてるの?

「....もしかして拗ねてますか?」
「うん」
「弟ですよ?」
「関係ない」
「~~~っ」

いきなり口付けされた。
隙間から舌が入ってきて
貪るように絡めてくる。

い、息ができないっ

ぷはっと唇を離し、涙目で陛下を睨んだ。

陛下は意地悪そうににっと笑った。
目が狼だ。

「ねえ、夕鈴。呼んで?」

ちゅっと軽く口づけする。

「...で、でも。
 私、不敬罪になりませんか?」

ちゅ

「なんで?ならないよ。」

ちゅ

「で...でも...」

私だって本当は呼んでみたい。
躊躇してると、陛下はもう一度口付けして
私の目を見つめた。

「即位してから、僕の名を呼んでくれる人はいない。
 夕鈴には名前で呼ばれたい。だめ?」 

そう言って小犬の目で懇願してきた。
目には寂しそうな光。

くっ...ずるい。
小犬で懇願されたら断れないのを知ってて。

でも...
誰も呼ぶ人がいない?
そうか。
「陛下」は個人の名前ではない。
敬称だ。

陛下の瞳の中に深い孤独を
見た気がした。

名前を呼ぶのは特別だ。
真の名を知られると、
魂を奪われると言われる。
特に身分の高い人の場合は。

貴方がそう望むのなら。
私だけ呼んでよいのなら。


「....だめじゃないです。」

ちゅ
また口づけしてきた。

「じゃ、呼んで?」

ちゅ

「...ぃ...ょ...様」

ちゅ

「ん?」

ちゅ

「黎翔様っ」

ちゅ

「様もいらないよ」

ちゅ

「それは無理です。何卒ご勘弁をっっ。」

ちゅ~っと長い口付けをし
陛下はほほ笑んだ。

「仕方ないな。じゃ、もう一回呼んで?」
「黎翔様」

途端、陛下が破顔した。
その笑顔を見て負けを認める。
完全に陥落だ。


破顔陛下




...もう。
こんなに嬉しそうな顔されたら
呼ばないわけにはいかないじゃない。


それから二人の時は名前を呼ぶようになった。


* * *

でも、
名前を呼ぶたびに嬉しそうな陛下を見て
なんだかくすぐったい気持ちになる。

陛下の顔が近づいてきて
唇が重なった。

二人で長椅子に座り
その日の出来事を話して
笑いあう。
とても幸せな日常。

---もっとも膝の上が指定席っていうのは
ちょっと困りものだけれど。


腕に囲われながらふと思う。
昨年は蓉州にいた。
今は後宮で陛下の膝の上にいる。
この時間はいつまで続くのだろう。
だけど
一つだけ決めたことがある。

* * *

「黎翔様...手を繋いでいいですか?」
「ん?こう?」
「こうやって手を繋いで
 一緒に歳を重ねていきた....んっ」

最後まで話すことができなかった。
陛下に口を塞がれたからだ。

「ぷはっ。へ、陛下。
お願いですから最後まで言わせてくださいっっ」
「ごめん。夕鈴が、あまりに可愛すぎて。」
「もうっ...」
「ごめんね。手、繋ごう?」


陛下はそう言って指を絡めて手を握った。

「...ゆうりん...ずっと一緒にいようね」
「いますよ。ずっと」
「うん。もうこの手、離さない」
「私も離しません。」


ちゅ…
陛下が繋いだ手に唇を寄せた。
愛おしそうに何度も口付ける。
陛下の瞳が熱を帯び始め、狼に変わっていく。

唇が触れた場所が熱い。
身を捩ると、顔が近づいてきて
ちゅ
唇が重なった。
重ねる毎にどんどん深くなる口付け。


この後は夫婦の時間だ。
抱きしめあって
お互いの名を何度も呼び合った。


* * *

後宮に戻るときに
一つだけ決めたことがある。

何があっても
この手を離さないと。

あの人が初めて手をのばしてくれたから。
側にいてほしいといってくれたから。
あの人の手をとった時に決めた。


手を繋ごう。
二人が離れないように。


そして...
一緒に生きていくために。



おしまい
-------

お付き合い頂きありがとうございました。

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コメント
今日は結局花の絵だけで終わってしまいましたm(__)m
何もしないでぐーたら過ごしてしまって激しく後悔しましたが、ブログ巡りに来てみてよかった。なんかホッとしました(^^)
まるねこdot 2016.04.24 20:51 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2016.04.24 20:52 | 編集
まるねこ様
いやいや。お花の絵、よかったですよお。(#^.^#)
私、逃避で描いた饅頭にほぼ一日費やしたとき、
さすがに何やってるんだろうと落ち込みました。

SNS掲載時とは最後を変えたので
大丈夫かなと不安でしたが
ほっとしたのならよかったです。(*^▽^*)
けいdot 2016.04.24 22:44 | 編集
タイフーン様
楽しみにしてくださって本当に嬉しいです。
そう言えば、いつの間にか週末更新ですね。
ええ、我が家の夕鈴はその妖力で陛下と常に周りの人を
幸せに。(*^▽^*)
もうっ。すっかりタラされてますねっっ。

ありがとうございましたあ。
けいdot 2016.04.24 22:58 | 編集
初めまして、近頃楽しく読ませて頂いています。
恥ずかしながら、狼と兎にハマってるアラフォーの主婦です。
名前って大事ですよね!私も、旦那を名前で呼ぶようにしてます。なんか、個人を大事にしてもらえてるみたいで(^w^)
これからも、楽しみにしています。
なおかざdot 2016.04.25 07:04 | 編集
なおかざ様
はじめまして
私も同世代の主婦です。
そして今までにないくらい
兎と狼にハマってます。(*^o^*)
名前呼びはいいですよね。
早く原作もそうならないかなと
思いながら妄想してます。

ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
(*^o^*)

けいdot 2016.04.25 08:37 | 編集
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