2016
05.27

手を繋ぐ3

Category: 手を繋ぐ
続きです。
もしご興味があれば

【原作設定沿いif】
【過去捏造】
【黎夕】
* * *

玉砕覚悟だった。
それなのに…。

久々に会った陛下の言葉に
自分の耳を疑った。


-----君を愛してる
側にいて欲しい。自分の手で君を守りたい。


境界線の向こうから…
初めて
手が差し出された。


側にいてくれと。
一緒に生きて欲しいと。



迷わず
その手をとった。



「私も…貴方の側にいたい。」





そして
月日は流れ


* * *


「ゆーりん。」
「はい?何でしょう。黎翔様。」


名前を呼ぶと陛下がふわっと笑った。
この笑顔に今日も陥落する。


いつの間にか
互いの名を呼び合うことが
日常になった。


手を重ねると
陛下が指を絡めてくる。
恋人繋ぎだ。


ふと
明玉の言葉を思い出す。


あれはね。
片時も離れたくない男女が繋ぐ繋ぎ方。
深い仲になるとああいう繋ぎ方するわね…


深い仲っっ。
ぼふんと顔から湯気が出た。


「どうしたの?急に赤い顔をして。」
「あ、あの…これ、恋人繋ぎって…いうらしい、です。
片時も離れたくない二人の繋ぎ方だって。
前に友達が…。」


陛下が何を今更という顔をした。
「だって夫婦でしょ。それに…」

ちゅ
繋いだ手に口付け

「君と、片時も離れたくないしな。」
妖艶に微笑んだ。


〜〜〜〜っ
いきなり狼。
…この人、絶対本性は狼だ。
もう…顔から火が出そう。
思わず俯いてしまった。
そんな様子を見て陛下が笑う。
そう…これが今の日常
陛下と一緒に過ごす幸せな毎日。



あのとき
几鍔の手をとらなかったのは
これを暗示してたのかもしれない。


もし、あの時に戻り
几鍔の手を取っていたとしたら、
私は今の道を歩いただろうか。




「どうした?」

「え?」

「遠い目をしてる。」

「ちょっと考え事をしてました。
過去に戻って道を選べるならどうしたかなと。」


陛下が寂し気に笑った。
手が離される。
何だろう?何だか遠い。


「…後悔してる?」

「いえ?やはり今と同じ道を選んだだろうと。」


陛下はしばらく遠くを眺め
こちらに目を向けた。


「…昔話をしていい?」

「?…はい」

「昔ね、お忍びで下町に来た時
女の子にお饅頭を貰ったんだ。」

「-----え。」

え。
思いっきり心当たりがある。

「すぐにお礼を言いたかったんだけど
忙しくてなかなか抜け出せなくてね。
暇を見つけてお店に行ったら、
その子には恋人がいてね。
言い合いしてた。
餌付けとか言ってたかな。」


。。。。
…つまり
あの美形は陛下だったんだ。
それもお店に来てくれて
…って、恋人って?まさか几鍔のこと?
-----あり得ない。



「-----。恋人じゃないですよ。」

「そうだね。そう言ってた。
だから僕にも未だ見込みはあると思ってね。
臨時花嫁の件は仕組まれた事と言ったら怒る?」

「------え?」

更に驚く。


「縁談避けの臨時花嫁の話は前からあった。
僕は長く玉座にいる気はなかったから
妃は臨時で十分だと思ってた。それは事実だ。
でもどうせなら、相手は君がいいと。」


陛下は静かな目で私を見つめた。
遠い目。境界線の向こうにいる時の目だ。


記憶が蘇る。
ではあの時。
几鍔の手を振り払わずに取っていたら
陛下にぶつかっていなかったら…
今、私はここにはいなかったのだろうか。
陛下を見つめた。

…違う。
例え過去に戻ってやり直したとしても
今と同じ選択をしただろう。
几鍔の手は取らず、高賃金で割のいい
短期の仕事に応募した。


「黎翔様…」


陛下の手を取った。指を絡める。
恋人繋ぎだ。



恋人繋ぎ



「怒りません。むしろよかったです。
今、貴方の側に居られるから」



陛下が目を見開いた。


「それに…臨時花嫁の話は
その前からあったんですよね?」

「うん」

「それなら、きっと同じ選択をしました。
高賃金で割のいい短期の仕事に
迷わず飛びつきました。」

陛下がくすりと笑った。
「…うん。夕鈴ならそうだね。」

「陛下…黎翔様…。
私は選ぼうと思えば違う道を選べました。
下町に戻ったあの時に。
でも、私はあなたにもう一度会いたかった。
二度と下町に戻れなくても。
私は自分の意志でお側にいるんです。」


握った手に力を込めると
応えるように強く握り返された。
そのまま抱き寄せられる。


「うん。…ありがとう。」


見つめ合って互いに笑い合った。
顔が近づき、唇が重なる。
確かめ合うように何度も口付けた。



陛下の胸に頬を寄せると
抱き上げられた。



「向こうに…行こうか…」
「…はい…」

ちゅ
「うん…君をいっぱい愛したい」
「〜〜〜〜っ」


耳元で囁かれる甘く掠れた声。
夫婦の時間の始まりだ。



何度も口付けを交わし
求め合った。



手を繋ぐ。

「ゆーりん。」
「はい?」
「ずっと側にいてね。」
「もちろんです。」
「手、もう離せないよ。」
「大丈夫です。私も離しませんから。」


もう一度、過去に戻ったとしても
同じようにこの手をとるだろう。


握った手に力を込めた。
お互いの気持ちを確かめ合うように。



そして…
二度と離れないように。





------------

ありがとうございました。


次はおまけの夫婦の時間です。
S小犬降臨。
苦手な方はここまでです。
大したものではないですが
念のためパス付けます。
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コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2016.05.27 01:40 | 編集
ますたぬ様
コメントありがとうございます。
几鍔、お兄ちゃんなんですよね。
ちょっと不憫でしたが、
彼にも幸せが訪れるといいなあ。

次は軽い気持ちでお楽しみください(*^_^*)
けいdot 2016.05.27 08:05 | 編集
うんうん、本当に!
最初の出会いは偶然だったかもだけど、一度下町に帰されて、それでも陛下に告白しよう、味方でいようって決意したのは夕鈴の気持ちですもんね!
今さら気付きました!←
こんなん言われたら嬉しいよね、陛下(*´ω`*)
クサクサした気持ちが癒されましたぁ♪
おまけ?も楽しみにしてます~!!
もずくdot 2016.05.27 12:32 | 編集
次はいよいよおまけ!?
そしてパス付き!?(≧▽≦)
楽しみにしてます♡
まるねこdot 2016.05.28 02:02 | 編集
もずく様
コメントありがとうございます。
最初は偶然でも、陛下の側にいると
決めたのは夕鈴ですしね。
12巻て覚悟を決め、陛下に一歩一歩
近づいていく夕鈴が大好きなんです。
書けてよかった。
おまけもよろしくお願いします(*^o^*)
けいdot 2016.05.28 11:13 | 編集
まるねこ様
コメントありがとうございます。
おまけ書きました。
けいdot 2016.05.28 11:20 | 編集
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