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2016
06.09

手を繋ぐ~陛下ターン1

Category: 手を繋ぐ
おはようございます
何だか陛下ターンも書きたくなりまして
妄想を綴らせていただきます。
気の向くままに。

回数は決めてません。
もしよければ、お時間のあるときにでも…


【パラレル】
【原作設定if】
【過去捏造】

* * *

王になり一年が過ぎた。
内乱を制圧し、荒れ果てた内政を粛清し
国が落ち着き始めた頃
降るように縁談話が湧いてきた。

うんざりする。

まだ国は落ち着いていないというのに。
高官達も歩み寄ったほうが得策とみたようだ。

それで縁談とは。
実にくだらんな。


事あるごとに縁談を断っていると、
その内、妙な噂が流れだした。

国王は男色家だと。
側近はその相手だという。
李順と?そんな訳あるか。
二人で頭を抱えた。


「-----全く。奴らは暇なのか?」

「ええ、暇なのでしょう」


李順も相当腹に据えかねているらしい。
言葉に険がある。



「では、如何でしょう。臨時花嫁を雇っては」

「臨時ぃ~?」

「はい。臨時です。
毎回断るのも角が立ちますので」

「だが、短期間で女をころころ変えていたら、
今度は好色家と言われないか?」

「男色家よりましです!!」

「----。考えておく」



昔は幾多の妃がいたという後宮。
今は空のままだ。
臨時とはいえ、後宮に妃を迎え入れる。


幼い頃の苦い思い出が蘇る。
正妃に疎まれ、命を狙われた日々。
後宮という檻の中で日に日に小さくなっていった母を思い出す。


まっぴらだな。
後宮などには興味がない。
この座に長い事居る予定もない。
ならば臨時位が丁度いいだろう。
だが、未だ先の話だ。


何時ものことだが
ここは息がつまる。


息抜きでもするか。
下町へ.....


李順に見つからないように
自室に戻り服を着替える。
遠くから僕を探す李順の声が聞こえたが
聞こえないふりをしてその場を去った。


* * *


----しまった。
変な時間帯に出てきてしまった。
店は丁度入れ替えの時間帯で
開いている店が少なく
開いてる所は混んでいた。


仕方ない。しばらく街でも観察するか。
歩きながら王都の街中を観察した。


辺境から戻ってきた頃は街は荒んでいた。
路地には怪しい輩がたむろしていたし
路を歩く人々は疲弊した顔をしていた。

今、街には活気が戻り、路は行き交う人々で賑わっている。
路地裏に潜んでいる輩も皆無ではないが少なそうだ。
警備兵がうまく機能しているのだろう。


王宮にいるとなかなか見えないが、
たまには街の様子を見るのもいいものだ。
政は目に見える形では返っては来ない。
報告と実情が異なることは多々ある。
だからこそ自分の目で見る必要があるのだが、
こうして見ると自分の進めている施策は
間違ってはいなかったようだ。


店を探して歩いていると、目の前で若い男女が手を繋ごうとしていた。恋人達のようだ。


隻眼の男が立ち止まり、走ってくる女に向けて手を差し出した。
女は一瞬その手を取ろうとしたが、
すぐに男の手をははたき落とした。

。。。。気の強い子だな。


「ってっ!ったく可愛くねーな。」
「可愛くなくて結構よ」
「あ、おい」


女が走り出して
僕にぶつかった。
転びそうになったところを抱き止める。


薄茶色の髪に表情豊かな大きな目。
高く結い上げた髪が兎のようだ。


「大丈夫?」


声をかけると、慌てて飛びずさり

「あ、す、すみません、大丈夫ですか?
服汚れてませんか?お怪我は?」


と僕の心配をし始めた。
尋ねた方は僕の方なんだけど...
まさか心配されるとは思わなかった。

「うん。大丈夫...」


ぐ~~キュルルル

答えると同時に盛大に腹が鳴った。
女の子が驚いた顔をしている。


「あ、聞こえた?」
「.....はい。
あの....お腹空いているんですか?」
「うん。朝から何も食べていないんだけれど、
今どこも開いていなくて」


すると、女の子は籠の中から肉饅頭を
二つ取り出し、僕に差し出した。


「あ、あの。もしよかったら。
これ、いかがですか?」

「え?」

「バイト先で余分に貰ったんです。
気に入ったのなら、食べに来てください。
あそこのお店です」


そういって彼女はお店を指差した。


「でも…君の分は?」

「私はバイト先で食べられますので。
それにお腹空いた人放っておけないし…」

「…ありがとう。では頂くね。」

「どうぞ。」


肉饅頭は温かくて美味しかった。
王宮の料理は冷たい。毒見に回され、
僕の所に回ってくるまでに冷めてしまう。

「美味い....」

思わず口にすると、彼女はふわっと笑った。
すごく嬉しそうだ。
媚びも打算もない心からの笑顔。
僕の周りには媚びた笑いをする女しかいない。
こんな素直な笑顔をする女性を初めて見た。


顔を見つめると、彼女は慌てた風に袋を押し付けた。


「あ、でも、ごめんなさい。
実は、今、ちょっと急いでいて。
それ食べちゃってくださいね」


と言って走り去った。


。。。
唖然とする。

「...これ、食べていいのか?」

毒は入っていないだろう。
もっとも、毒など僕には効かないけれど。


「美味そうな肉饅頭だネ」
「....浩大。」


直属の隠密が声をかけてきた。

「側近サン、相当怒ってたよ。
早く戻らないと後が怖いよ。半日説教かな。」
「早いな。もうばれたのか。」
「とっくに。ところで、それ、美味しいの?」
「…やらんぞ」
「へー?そんなに気に入ったんだ。」
「…何が言いたい」
「いえ、別に。
折角なんで、お店、調べましょうか?」

浩大は意味深に笑っている。
明らかに楽しんでるな。

「。。。好きにしろ」
「りよーかい」

言うが早いか
浩大は街の方に消えていった。


* * *

王宮に戻ると、
どす黒い空気を纏った李順が近寄ってきた。


「お早いお帰りですね。
お待ち申し上げておりました。
久しぶりの下町は
さぞかし楽しかったでしょう。
私の方は陛下のいない間、
どうしてくれようかと…」


嫌味を言いながら黒い笑いを浮かべ、
机の上に書簡の山を築き上げた。


「。。。。。」
「まだまだいっぱいありますからね。
ちゃっちゃと済ませてくださいね。」


有無を言わさぬ側近の圧力に、
仕事をするしかなかった。
その後、急ぎの案件が入り、
下町へは行けなくなった。




* * *

数日後



「李翔サンこっち、こっち。」

浩大が調べた所によると
件の彼女の名は汀夕鈴というそうだ。

父親は下級官吏で弟が一人いる。
父親の借金返済と弟の学費を稼ぐため
バイトに明け暮れているという。
バイトも複数掛け持ちしており、
今の時間帯は飯店でバイトしているらしい。

中に入ると、奥の席に案内された。
観察していると、
彼女はくるくると客席の間を回り給仕していく。
見ていて飽きなかった。

しばらく観察していると
隻眼の男と何か言い争っていた。
あの時もそうだったな。
聞き耳を立てた。

「ったく。あー言えばこー言いやがって。
ところで…。この間のあいつ、来てるのか?」

「来てないわよ。実は顔あまり覚えてない。
黒髪の綺麗な人だったとしか。」


そうか。覚えてないのか。
軽く失望する。
向かいで浩大が肩を震わせている。
蹴飛ばした。
なら、声かけてもしょうがないか。


「え?何?なんの話?」

「こいつが男を誑しこんでだな」

「何ですって?夕鈴、やるじゃない」

彼女の友人が輪に入り
一緒になって盛り上がっていた。

「なっ!人聞きの悪い。人を悪女みたいに。
お腹空いてた人に饅頭をあげただけよ」

「そうかぁ。餌付けされたかあ。これは手強いわね。」

「餌付けって…。犬じゃないんだから」

「分からないわよ。犬系の人かも。
も?几鍔さん。恋人盗られないか心配よねっっ」

「「どこが恋人っっ」」

「まあ、声まで揃って。気が合うわね?」

「「違うっっ」」



成る程。僕は餌付けされたのか。
違うと言いつつも随分と仲が良さそうだ。
…犬系ね。確かに狼も犬みたいなものだが。


それにしても表情豊かな子だ。
面白くて目が離せない。
周りから二人を冷やかす声がする。

その声を聞いて、彼女が震え出し

「絶対に違うからねっっ」
どすの利いた声で周りを怒鳴りつけた。

ぶっ
面白い顔。

「あの子、面白過ぎる。
見てて、全然飽きねー。」

浩大がポツリとこぼした。

確かに。あの子、見てて飽きない。
肩を震わせた。


覚えては貰えなかったけれど
こんな子が側にいたら
さぞかし毎日が楽しいだろう。



「戻るか。」
「あれ?声かけないの?」
「覚えていないのなら、仕方あるまい。」
「ふーん」


勘定を済ませ、外に出た。
陽の光の似合う娘。
自分とは縁のない世界に住む者。
だが…。


王宮に戻り、李順に伝えた。


「臨時花嫁を迎える」
「おや、どういう風の吹き回しですか?」
「気が変わった。」
「左様ですか。まあ、そんなこともあろうかと
候補者を見繕っておきました。こちらです。」

李順から候補者の一覧を受け取った。
正直言ってどうでもよかったが
そこに書いてある名前に目を瞠った。


汀夕鈴


候補者の一番上に
彼女の名前があった…


これは…偶然か?
李順の顔を見たが、表情は読めなかった。
まあいい。どちらにしても同じことだ。
妃は臨時で十分だ。
ならば、彼女の方が一緒にいて楽しそうだ。



「…では。最初の娘を…」
「御意」



続く


--------
何だか暗いですね。陛下ターン。
でも、楽しいから、気ままに書かせて頂きます。

妄想にお付き合い頂き、ありがとうございました。


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コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2016.06.09 14:10 | 編集
もも様
そう言ってくださって嬉しいです。
陛下側、何処まで書こうか悩みどころですが
原作の好きなシーンをにのんびりと書こうと思います。
また是非お越しくださいませ(*^o^*)
けいdot 2016.06.09 19:32 | 編集
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