2016
02.22

青慎の出仕3

Category: 青慎の出仕
青慎の出仕シリーズの続きです。
青慎。ついに李翔さんが陛下だと知ってしまいます。

よろしければ、続きをどうぞ。


【青慎の出仕3】
*******************

現れた李翔さんは、冷たい雰囲気をまとっていた。
下町にいたときの柔らかい感じとは別人だ。

どういうこと?
李翔さんが狼陛下?
混乱したが同時に納得もする。

ああ...それで...
わざわざ治安の悪い場所を見て回ってたんだ。
町の様子を知るために。
今の王様が実力主義だと断定できたのは本人だからだ

あれ?でも...

たしか国王陛下には正妃がいるはず。
噂では非常に寵愛が深いと聞く。

じゃ、姉さんは?

姉さんが下町に帰ってきたときは
決まって李翔さんがついてきた。
どちらかというと李翔さんのほうが
姉さんに執着している感じだった。
僕は、姉さんは李翔さんと一緒にいると思ってた。
李翔さんが陛下なら姉さんは今どこにいるの?


...眩暈がした


「大丈夫?」ふらついたところを水月さんが支える。
みると水月さんも真っ青だ。

ああ、心配させてしまったみたいだ。

「大丈夫です。ご心配お掛けしました」
きっと何か事情があるんだろう。

その後、方淵さんに連れられ陛下の御前で挨拶した。
配属された官吏はお目通りするという。
確かに政務室に陛下の知らない(知ってるけど)官吏が
自由に出入りするのはまずいのだろう

狼陛下は正直怖かった。
けれど彼が有能な王であることは知っている。

王様が代替わりしてから治安が格段に良くなった。
町も活気を取り戻した。
学問所も増え、民間人の官吏への登用も増えた。
僕がここにいることができるのはそのおかげだ。
それだけの改革をするからには、ある程度非情に
ならないとできないことだろう。

そしてあのとき笑って応援すると言ってくれたことも
嘘ではないと思う。
聞きたいことは多々あるけれど、きっとそれは今ではない。

すうっ
深呼吸した。

「本日より政務室に配属となりました汀青慎です。」

そしてこれは伝えないと。

「民間人の僕が官吏として働ける機会を与えて
くださりありがとうございます。
その機会を無駄にしないよう精進いたします。
よろしくお願いいたします」

挨拶する。


「顔を上げよ」

穏やかな声が聞こえた。

「汀青慎。よい働きを見せることを期待している。日々励め。」

顔を少し上げると目が合った。
笑顔こそなかったが、先ほどの冷たい空気はなく、
穏やかな目をしていた。
礼をして下がり、そして仕事を始めた。



* * *


仕事を始めた青慎を黎翔は静かに観察していた。

官吏の間をくるくると動き、時々いなくなったかと思うと
書簡を抱えて戻ってくる。
よく動く。夕鈴みたいだ。

その一方で冷静な一面もあるようだ。
さっきは私の顔を見て驚いた顔をしていた。
何か言いたげな目をしていたが、すぐに切り替えて
仕事の顔に戻っている。受け答えもそつがない。


考えに耽っていると、官吏から報告書が上がってきた。
内容を確認する。

?気のせいか?
今日の書簡は全体的に内容が整理されていて手戻りが少ない。
いつもこれくらいだと仕事しやすいのにと苦笑する。


「昨日差し戻した件は?」
「はい、関係部署に手配済みです。後は各部署での承認待ちです」

官吏が応える。

「...?今日は随分と仕事が早いな」
「そうですね。いつもこれくらいだと助かりますね」

李順も不思議そうな顔をしている。

「...青慎です」書簡を持ってきた方淵がいう。

李順と二人で方淵を見た。

「彼が各部署を回って調整しています。
研修で配属された部署なので、皆協力的です。
その分、各部署からの急ぎの対応依頼も回されてきますが、
それは想定の範囲内です。」


そこへ青慎が戻ってきた。


「ただ今戻りました。全て承認です。」


おお、と周りがどよめく。
黎翔と李順は目を見開いた。


....驚いた。今日の配属でこれか?
正直これほどとは思ってなかった。
なるほど。方淵が欲しがるわけだ。


李順の目が光った。
何か考えているようだった。


* * *

一日の業務が終わった。
帰宅しようと一人回廊を歩いていると声をかけられた。

この人は、えーと、確か陛下の側近の....。
そうだ李順さん。



「青慎殿。....少しお時間いいですか?」


・・・?なんだろう



つづく
*******************

ありがとうございました。
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