2016
07.20

夢物語〜異国〜後半

Category: 夢物語
こんばんは〜
続きをお届けします。

今回のコラボは「兎嫁と陛下の徒然日記」
白友のまんまるこ様がSNSで連載しているお話
鏡面恋歌です。

このお話は夕鈴が隣国の皇女という設定で
白陽国に視察に行き、黎翔陛下と出会います。
この陛下、夕鈴に対する執着が非常に激しく、
あの手この手を使って夕鈴を自分の元に
繋ぎとめようとします。
だけど言葉が足りなくて体を繋ぐ事でしか
引き止められない。

そんな不器用な陛下にリンクしました。
よければ続きをどうぞ。


【本物夫婦設定】
【コラボ話】
* * *

体が激しく揺れている。
喉が痛く、下腹部が重い。
目を開けると、陛下に激しく揺らされていた。


えええ?何?まだ続いているの?
いい加減しつこいと思って睨みつけると
陛下と目が合った。怒りを含んだ目だ。

え?どうしてこんなに怒ってるの?
まさか途中で気を失ったからとか?


逃げ出そうとすると腕を捕まれた。
腕を見ると無数に付けられた所有印。
さっきより数が多く、それも鬱血していた。
噛み跡もある。
何これ?ちょっと怖い。
更に逃げようとすると噛み付かれた。
腰を捕まれ激しく揺すられる。

「逃げ…るな」
地を這う声。ぞくりと戦慄が走る。


「いやっ、陛下あ!」


違う。この世界の陛下じゃない。
顔は一緒だけれど、この人は一体誰?
行為の激しさに頭の中が真っ白になる。
その瞬間、誰かの意識が流れ込んできた。


…どうして?
あの人の笑顔が見たかったのに
喜んで欲しかったのに…


悲痛な叫び。
深い悲しみが流れ込んできた。
そうか。これ、夢なんだ。




どうして?
さっきまで優しい目をしていたのに…。

月を眺めていると後ろから抱きすくめられた。
あの人の腕の中に囲われながら
一緒に月を眺めるのが好きだった。

耳元で囁かれる甘い言葉に腰が砕ける。
にこやかに続く会話。穏やかで幸せな時間。

お茶請け作ったって言ったら
驚いた顔をしてた。
だけど嬉しいって笑ってくれたのに…。

あの人の為に作った果汁入りの寒天。
好きそうな味の物を吟味して取り分け
戻ってみると、空気が一変していた。

冷たい声に酷薄そうな笑みに
体の芯から震えが止まらなかった。
困惑する。何故?どうして?
さっきまで笑っていたのに。
お盆を持ったまま立ち竦んだ。


「帰りたいか?」
「へ?」
帰る?何のこと?

「国へ…帰りたいか?」
「あの、それは…そうですが…」

普通に考えればそうよね。
気軽な視察で短期間の滞在のつもりだった。
それなのに、お茶に含まれた媚薬を冷ますため
身体を繋げてしまった。体だけの関係の私達。
だけど…それでも

「あの…でも…私は」
---貴方の側にいたい

その言葉は声にはならなかった。
言葉を飲み込み、俯いていると
地を這うような声が聞こえた。


「許さない…」


彼が狼に変わり、手首を掴み上げられた。
その弾みでお盆が落ち、寒天が飛び散った。
それを踏みにじられる。

---っつ!!

息をのんだ。
そのまま手を引っばられ
寝所に連れて行かれる。


「いやっ!陛下!陛下!」


全力で体を捩り逃げようとしたが、
力の差は歴然で、逃げ出すことも叶わない。
寝台に押し倒され、訳も分からぬまま
彼の激情のままに翻弄された。

貪るように何度も求められ、
なかなか解放してくれない。
どうして…?何がいけなかったの?
何度も自問する。
だけど…

皇女殿……ゆ…りん


気のせいだろうか。
この人の声が縋っているように感じるのは。
そして微かに聞こえた声。


---行く…な


その言葉に胸を突かれた。
…同じだ。この人も。陛下も。

私はここにいるのに…
好きなのは陛下だけなのに…
どうして伝わらないんだろう。


激情を受け続け、薄れゆく意識の中…
心残りだったのは…寒天。


陛下に食べて貰いたかった。
喜ぶ顔が見たかった…


* * *


頬が温かい。
目を開けると陛下が私の顔を覗き込み
頬を撫でていた。
びくっ。
また襲われるかと思って、身を固くする。

「夕鈴?……ごめん。泣かないで。」

心配そうな顔。今は小犬陛下だ。
何だかほっとする。
安心した途端、ふつふつと怒りが湧いてきた。


「陛下のばかっ」
「ご、ごめん。独り占めしてたくて…つい」
「私、せっかく貴方の為に寒天作ったのに!」
「??え、え、え?寒天?って、何の事?」

陛下は面食らったように瞬きをした。
私の怒りに戸惑いオロオロしてる。
あ、そうか。寒天は夢の中の話だった。

「あ…すみません…夢の中の話でした。」


そう。夢だった。恐ろしくて悲しい夢。
せっかく作った寒天を踏み躙られて。
無理矢理寝所に連れ込まれた挙句
いいように翻弄されて。

…思い出すと、だんだん腹が立ってきた。
一体何よっ。直前まで甘く口説いてたじゃない。
嬉しそうに笑ってたのに。何なのっ!!
寒天が気に入らないなら、そう言えばいいじゃないの。
黙って怒ってちゃ、分からないわよ!も〜っ!
ふんっ。鼻息を荒くした。

それなのに…皇女の私は健気だった。
心は悲しみで一杯だったのに
ひたすら陛下のことを想ってた…。
うーん。この辺に育ちの違いが出るのかしら。
下町でチンピラみたいな奴と毎日対峙してた
私とは。

----いや、違う。
どの世界にいても私は私だ。
絶対何処かで目が醒めるに違いない。
兎だってキックぐらいはできるのよ。
拳をぐぐっと握りしめた。


ギシっ
寝台がきしみ、
陛下がのしかかってきた。


「ねえ、夕鈴。」
低い声。----まずい。かなり不機嫌だ。


「今、誰と間違えて怯えた?誰に寒天作った。
そして誰に対して怒ってる?」
「え…と、夢の…話…ですよ?」
「ふうん?夢ね。どんな?」
「う。…あの…私、別な世界にいまして…。
隣国の皇女になってました。」
「皇女?」
「はい。視察でこの国を訪れて、貴方と出会うんです。」
「それで、何でそんなに怯え、怒ってるの。」
「それは…っ」

説明すると陛下はますます不機嫌になった。
背後からドス黒い空気がゴゴゴと噴き出している。

「…許せないな」
「そうですよねっ。食べ物を粗末にしちゃ、駄目ですよね!」
「…え?そこ?」
陛下が目を丸くした。

「え?陛下は違うんですか?」
「。。。」
「え?だって…言いたいことがあるなら
はっきり言えばいいじゃないですか。
食べ物を踏むなんて…天罰がくだります。」

ぶっ
陛下が笑いだした。

「確かに…君だったら説教しそうだな」
「そうですよ!折角作ったのに!も〜っ!」


ちゅ
唇が重なった。

「心配しなくていい。彼には既に天罰が下ってるだろう。」
「え?」

ちゅ
「君の手料理を食べ損ねた」
「そんなこと?」

ちゅ
「大事な事だ。」
「。。。」

ちゅ…
「思うに…残りは浩大が食べたのだろう?」
「多分…」
「ならば今頃、報告受けて悔しがっている。」
「…そうでしょうか…」

ちゅ
「私ならな。」
「。。。」
「それに…君ならそんな事されて黙っていないだろう?」
「はい…」

ちゅ
「そういう事だ。いずれ兎キックを食らう」
「(兎キックう??)。。。そうですね。」


「----ところで夕鈴。」
ざわり。部屋の温度が更に下がった。


「向こうの私はそんなにも君を貪ったのか?」
「えええ?そこ?だって夢の中の話ですよ。」

「だが、私の顔を見て怯えた。
さぞかし激しいものだったのだろう?」
「う…」

「許せないな。君の体を散々貪った挙句、
噛み付き、その白い肌に跡までつけるとは…」
「(いやいや貴方も昨夜同じことしたでしょ)
あの…陛下?夢ですよ?そして跡つけたのは貴方です。」

「関係ない。君に近づく男は誰だろうと許さない」
「はあ?…っ!んんん〜〜っ」

喰らいつくように口付けされ
悪戯な手が胸を弄り出す。


ちょっ…待って、この展開。また襲われるの?
も〜いい加減にして。
ぐいと押し返し、両手で陛下の口を塞いだ。


「ゆーりん…この手は何?」
「しつこいですっっ!」
「。。。」
「へーかも昨日から何ですか!
言いたい事があるなら、はっきり言えばいいでしよう?
私、どこにも行きませんよっ。」

驚いたように、陛下の目が見開かれる。

「…ほんとに?何処にも行かない?」
「…行きません。ここにいます。」

「下町に帰ったりしない?」
「帰りません。貴方のお側にいます。
いつもそう言ってるじゃないですか」

「あっちの僕の方が良かったりしない?」
「何でっ?向こうの陛下には皇女の私がいます。
も〜っ!好きなのは貴方だけですってば!!
どうして分かってくれないんですかっっ!!」
「…うん。…ごめん」


ぎゆうう
強く抱きしめられ
ちゅ
唇が重なる。

「やっぱり、もう一回だけ…いい?」
「。。。」
「ごめんね。夕鈴好き過ぎて、止まらないんだ。」
「〜〜っ。じゃ、一回だけなら。」
「うんっっ」


もう一度ぎゆううと抱きしめられ
口付けの雨が降ってきた。



へーか…
何?ゆうりん
私…ここに…お側に…いますからね
うん…いて…ずっと
はい…ずっと…一緒です…
うん…離さない…


優しく力強い腕に抱かれ、
一緒に達した。
愛おしそうに抱きしめられ
やっと言葉が届いた事を実感する。



そして
抱き合ったまま一緒に眠った。



* * *
【おまけ】

目が覚めると、腕の中に夕鈴がいた。
消えていないことに安堵する。

月を眺めて弟を思い出す夕鈴を見て、
例えようもない程の恐怖に駆られた。
喪失への恐怖。そして他の男への想い。
何処にも行かないという言葉に安堵する反面、
いる事を確かめるために何度も求めた。
恐ろしい程の執着。


彼の世界の私が何を思って
そこまで荒れたのかは判らない。
私の場合はただ一つ。夕鈴を失うこと。

彼の世界の私も同じであるならば
彼女に近しい男の存在を感じたのか
あるいは喪失への恐怖か。
いずれにせよ、尋常でない程の執着が伺える。


全く…「難儀な事だな」
私も…彼の国の私も。



夕鈴は腕の中で健康そうな寝息を立てている。
程よい重みと温もり。
手離せる気がしない。
抱き寄せて存在を確かめた。


「う…ん?へ…か。私…ここに…」
「夕鈴?」
「……」


返事はない。
すうすうと寝息が聞こえた。
寝言か…。


「うん…夕鈴。ずっといてね。ここに」


もう一度抱きしめ
夢や幻でない事を確かめてから
眠りについた。



おしまい
-------------

ここまでお付き合い頂き
ありがとうございました。

そしてまんまるこ様、
コラボありがとうございました。
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コメント
いや、もう、何度読んでも素敵で!
押しかけコラボありがとうございました!
とってーも嬉しいです!

陛下の悋気も楽しいし、うちの陛下に対する考察がドンピシャ!
うちの2人も早く本当に心を通わせて欲しいです←お前だ

ありがとうございました!
まんまるこdot 2016.07.20 06:24 | 編集
まんまるこ様

悋気陛下、いいですよね〜
(=´∀`)人(´∀`=)
大好物です。

自分にまでヤキモチ妬くなよ…と
突っ込みどころ満載ですが
喜んで頂けて嬉しいです。(*^o^*)


早く心が通じ合って甘々な二人も楽しみですが
それ以上に兎キックも楽しみです。
ありがとうございました\(^o^)/
けいdot 2016.07.20 08:24 | 編集
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